梶裕貴

彼が主演を務めるアニメ『OVER DRIVE』は非常にホモくさいアニメである。男どもが、自転車に前のめりにまたがり、サドルにケツを掲げ、火花散るデッドヒートを繰り広げるのである。彼の演じる篠崎ミコトは、そんなアニメの主人公だけあって、かなりホモっ気を漂わせている。さて、彼は受けなのだろうか、攻めなのだろうか。それが難しいところである。可愛らしい外見だけ見れば受けのようである。だが、その性格は弱気なようでかなり好戦的。攻めのようでもあるのだ。さらに、ミコトの激しい妄想癖はキャラクターの像を揺さぶる。これは演じるには手ごわい。だが、梶はこの困難に対し、巧みに立ち向かっている。彼の声は基本的に明るい。高く、響く。それを時として愛嬌の、また時として情熱の表現として使ってみせる。そして、確かに、成長する少年を描き出すのである。梶はまだ21歳である。まだ稚拙な部分もある。それがどうなるか、私は期待を持って見る。(由籠)